SoftBank

ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOの契約数と業績推移(2025年3月期 第2四半期決算)

2024年11月8日、ソフトバンク株式会社(東証PRM: 9434)は2025年3月期第2四半期の決算を発表しました。全セグメントで増収増益を達成し、特にモバイル事業が好調な結果となりました。本記事では、モバイル事業に焦点を当てつつ、ソフトバンク全体の業績についても詳しく解説します。

ソフトバンク株式会社の全体業績

決算期売上高営業利益純利益(親会社所有者に帰属)
2023年3月期6兆840億円8,761億円4,891億円
2024年3月期6兆2,000億円9,000億円5,000億円
2025年3月期(予想)6兆3,500億円9,500億円5,100億円
2025年3月期は、上方修正された予想値に基づいており、売上高・営業利益・純利益すべてで前年を超える見込み

売上高と利益

ソフトバンクは2025年3月期第2四半期において、売上高3兆1,521億円(前年同期比7%増)と過去最高を記録しました。全事業セグメントで増収を達成し、特に法人向けエンタープライズ事業やICT関連商材が大きく貢献しています。

  • 営業利益5,859億円(前年同期比14%増)
  • 純利益3,239億円(前年同期比7%増)

これにより、通期業績予想に対する進捗率は売上高51%、営業利益と純利益はいずれも65%と順調に推移しています。

通期業績予想の上方修正

ソフトバンクは2024年5月に発表した通期業績予想を上方修正しました。

項目期初予想(2024年5月発表)上方修正後増加額増加率
売上高6兆2,000億円6兆3,500億円+1,500億円+2%
営業利益9,000億円9,500億円+500億円+6%
純利益5,000億円5,100億円+100億円+2%

この修正は、モバイル事業や法人向けエンタープライズ事業の好調さが反映されたものです。

モバイル事業の詳細

売上高の増加

ソフトバンクのモバイル事業は、第2四半期で前年同期比1.6%増(122億円増)となり、売上高は3,965億円に達しました。この増収は、スマートフォン契約数の増加や新料金プラン「ペイトク」の成功によるものです。

スマートフォン契約数の成長

スマートフォン契約数は前年同期比で4%増加し、累計契約数は3,021万件に達しました。特に低価格帯ブランド「ワイモバイル」が契約者数の伸びを牽引しており、新規契約者や他社からの乗り換えユーザーを積極的に取り込んでいます。

ソフトバンクモバイルのブランド別パフォーマンス

ブランド契約者数特徴
ワイモバイル約1200万件(2024年8月)低価格帯ユーザー向け、安定した成長を維持
LINEMO非公開オンライン専用ブランド、若年層に人気
ソフトバンク約3000万件(総計)高価格帯ユーザー向け、新プラン「ペイトク」が好調

ワイモバイルは、低価格でありながら高品質な通信サービスを提供し、特に「シンプル2」プランが契約者数増加に貢献しています。

ソフトバンク(メインブランド)

ソフトバンクのメインブランドとしては、高価格帯ユーザー向けのサービスを提供しており、総契約者数は3,021万件(2024年9月末時点)です。この中には「ワイモバイル」や「LINEMO」からソフトバンクへの移行も含まれており、特に新料金プラン「ペイトク」が好調であることが影響しています。

ソフトバンクブランドは高価格帯ユーザーをターゲットとし、ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)が高いことが特徴です。2025年3月期第2四半期では、新料金プランやPayPayとの連携によるポイント還元施策が奏功し、モバイル事業全体の売上増加につながっています

ワイモバイル

「ワイモバイル」は低価格帯ブランドとして安定した成長を遂げており、2024年8月時点で契約者数は約1,200万件に達しています。特に「シンプル2」プランなどが好評で、新規契約者や乗り換え需要を積極的に取り込んでいます。低価格ながらも高品質な通信サービスが評価されており、今後も成長が期待されています。

LINEMO

「LINEMO」はオンライン専用ブランドとして展開されており、具体的な契約者数は公開されていないものの、若年層やデジタルネイティブ層を中心に人気があります。PayPayとの連携によるポイント還元や手頃な料金プランが強みであり、オンライン専用という形態がコスト削減にも寄与しています。

モバイル事業の成長要因

新料金プラン「ペイトク」の成功

ソフトバンクが導入した新料金プラン「ペイトク」は非常に好調であり、ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)の改善に大きく寄与しています。「ペイトク」はPayPayとの連携によるポイント還元などを特徴としており、多くのユーザーから支持されています。このプランによって通信料値下げによる減収影響も緩和されました。

5Gサービス拡充と設備投資効率化

また、5Gサービスの早期展開と設備投資効率化も進んでいます。KDDIとの基地局共同構築によるコスト削減効果もあり、通信インフラ整備が効率的かつ迅速に進行中です。これにより、中長期的な競争力強化が図られています。

通信料値下げ影響からの回復

2021年春に実施された通信料値下げの影響が縮小しつつあり、これがモバイル売上高増加への転換を後押ししました。ソフトバンクは当初、この値下げによる影響が3年間続くと見込んでいましたが、2年半でその影響から抜け出すことができました。

他セグメントのパフォーマンス

エンタープライズ事業

エンタープライズ事業では前年同期比11%増収し、売上高は4,458億円となりました。法人向けICTソリューションやAIサーバー関連商材の需要拡大がこの成長を支えています。特にデジタルトランスフォーメーション(DX)需要が堅調であり、この分野でも引き続き成長が見込まれます。

ディストリビューション事業

ディストリビューション事業ではAIサーバー関連商材が急成長し、売上高は前年同期比44%増となりました。法人向けICT関連商材も堅調で、この分野でも大きな伸びを見せています。

メディア・EC事業

メディア・EC事業では、「Yahoo! JAPAN」や「LINE」を中心としたサービス強化によって売上高が前年同期比5%増加し、大幅な増益を実現しました。一過性要因を除いても16%の増益となっており、この分野でも安定した成長が続いています。

今後の展望

ソフトバンクは今後も5Gサービス拡充や新たな料金プラン導入を通じてさらなる成長を目指しています。また、「ワイモバイル」や「LINEMO」など低価格帯ブランドも引き続き強化し、多様なユーザー層へのアプローチを進めています。さらに生成AIや次世代社会インフラへの投資にも注力しており、中長期的な成長戦略にも期待が寄せられています。

まとめ

ソフトバンク株式会社は2025年3月期第2四半期決算で全セグメントで増収増益を達成し、その中でもモバイル事業が重要な役割を果たしました。「ワイモバイル」や「LINEMO」といった多様なブランド戦略が功を奏しており、今後もさらなる成長が期待されます。また、法人向けエンタープライズ事業やメディア・EC事業も好調であり、多角的な成長戦略が進行中です。

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