ダイレクト充電とゲーミングスマホの歴史

ダイレクト充電は、充電中のバッテリーを介さずに電力を直接デバイスに供給する機能です。バッテリーの劣化を抑え、発熱を軽減してくれるこの技術の登場はゲーミングスマホとおおきな関わりがありました。それぞれの歴史をみてみます。

ダイレクト充電とは？

ダイレクト充電は、スマートフォンのバッテリーを経由せずに、充電器から直接電力を端末に供給する技術です。この機能は、充電中にバッテリーへの負荷を減らすことを目的としています。特に、充電中にスマートフォンを使い続けることが多いユーザーにとって、この機能はバッテリーの寿命を延ばすために有効です。

ダイレクト充電の技術は、2010年代初頭にノートパソコンやゲーム機の分野で初めて導入されました。この技術は、充電中にバッテリーを介さずに直接電力を供給することで、バッテリーの劣化を抑え、デバイスの寿命を延ばすことを目的としていました。

スマートフォンへの応用が始まったのは2018年頃です。

ASUSが2018年にゲーミングスマートフォンROG Phoneで初めて導入したことにより、スマートフォンの充電技術として広く認識されるようになりました。シャープやサムスンなど、他の主要メーカーも追随し、現在では多くのスマートフォンに搭載されています。

iPhoneにはダイレクト充電機能はありません。

ダイレクト充電ができるスマホ機種には以下のものがあります。

ASUS ROG Phone II: このモデルはROG HyperCharge技術を採用しており、充電回路を充電器側に配置することで、充電時の本体の発熱を抑え、充電時間を短縮しています。
シャープ AQUOSシリーズ: シャープのスマートフォンには「インテリジェントチャージ」と呼ばれる機能があり、バッテリーが一定の充電レベルに達すると、充電を停止してダイレクトに給電することでバッテリーの劣化を抑えます。
SONY Xperiaシリーズ: Xperiaには「HSパワーコントロール」という機能があり、充電が一定水準に達すると充電を中断し、ダイレクトに給電する仕組みがあります。
FCNT arrows We2 Plus: ダイレクト給電に対応しており、充電器から直接電力を供給することで、バッテリーの負担を軽減します。

これらの機種は、バッテリーの寿命を延ばし、充電中の発熱を抑えるためにダイレクト充電技術を利用しています。

つぎに、ダイレクト充電機能がスマホに搭載されるきっかけとなった、ゲーミングスマホの歴史についてみてみます。

2017年から2018年にかけて、スマートフォン市場においてゲーミングに特化したモデルが本格的に登場しました。これらの端末は高性能なプロセッサ、専用の冷却システム、大容量バッテリー、そしてゲーム用のソフトウェア機能など、ゲームプレイに特化した設計が特徴です。

「PlayStation Certified」として、専用のゲームコントローラーを内蔵し、初のゲーミングスマホと呼ばれました。ただし、ハードウェアやゲームラインナップの限界から商業的には大きな成功を収めませんでした。

ゲーミングブランドRazerが発売した初のゲーミングスマホ。120Hzのディスプレイと大容量バッテリーを搭載し、ゲーマーに高品質なゲーム体験を提供しました。

ASUSのゲーミングブランド「ROG」(Republic of Gamers)から発売されたスマホ。ダイレクト充電技術「ダイレクトチャージ」や、専用のゲームモード、拡張アクセサリー対応など、ゲーミング体験を徹底的に追求しました。

2019年以降、ゲーミングスマホはさらに多様化し、各メーカーが独自の機能を備えたモデルを次々と発表しました。これには、より高速なリフレッシュレート、特別な冷却システム、専用のゲームパッドやアクセサリーなどが含まれます。

Xiaomiの子会社であるBlack Sharkが開発したゲーミングスマホ。高性能なハードウェアに加え、専用のアクセサリーやゲーマー向けのカスタマイズ機能が充実しています。

NubiaのRed Magicシリーズは、革新的な冷却システムや高リフレッシュレートのディスプレイを搭載し、コストパフォーマンスに優れたゲーミングスマホとして人気を集めています。

LenovoのLegionブランドから登場したゲーミングスマホで、横向き利用を前提としたデザインや、両側に搭載されたバッテリーなど、ユニークな設計が特徴です。

現在、ゲーミングスマホはモバイルゲーミング市場の一翼を担っており、クラウドゲームの発展や5G通信の普及に伴い、さらに進化することが予想されます。各メーカーは、より高いパフォーマンスや没入感を提供するための新技術を競い合っており、今後の進展が期待されます。