楽天グループは2024年度第3四半期の決算を発表し、売上高や各セグメントの成績について具体的な結果が示されました。本記事では、詳細な数値を用いながらその内容を解説します。
売上高と利益の概要
楽天グループの売上収益は、「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の全セグメントで前年同期比9.3%増となり、5,667億円を記録しました。これは四半期として過去最高額です。
- 売上収益: 5,667億円(前年同期比 +9.3%)
全セグメントで増収を達成し、特にフィンテックとインターネットサービス部門が成長を牽引。 - 営業損失: 626億円(前年同期は1,157億円の損失)
モバイル事業の改善と効率化が進み、損失が大幅に縮小。 - 四半期純損失: 1,300億円(前年同期比で改善)
引き続きモバイル部門の負担が課題ですが、損失額の縮小が見られました。
営業利益と黒字化
- Non-GAAPベースの営業利益は123億円を計上し、2019年第3四半期以来5年ぶりに四半期黒字化を達成しました。
- IFRSベースでも営業利益5億円を計上し、2020年第2四半期以来の四半期黒字化を達成しました。
- EBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)は922億円となり、前年同期比159.1%増の大幅な黒字を達成しました。
セグメント別パフォーマンス
1. インターネットサービス部門
- 売上収益: 5,896億円(前年同期比 +4.2%)
- セグメント利益: 324億円(前年同期比 +23.3%)
主力の「楽天市場」や「楽天トラベル」が引き続き好調で、EC取扱高の増加が寄与しています。
2. FinTech(フィンテック)部門
- 売上収益: 3,961億円(前年同期比 +13.5%)
- セグメント利益: 815億円(前年同期比 +36.7%)
「楽天カード」の契約者数増加、融資や預金事業を拡大する「楽天銀行」、および「楽天証券」の活躍が好調でした。
3. モバイル部門
- 売上収益: 1,948億円(前年同期比 +10.4%)
- セグメント損失: 1,326億円(前年同期は1,851億円の損失)
ネットワーク品質向上やコスト削減が進み、損失額が縮小しています。
戦略と今後の取り組み
- モバイル事業の黒字化
基地局の整備効率化や、既存顧客の満足度向上による収益性の改善 - フィンテックの拡大
- 「楽天カード」や「楽天銀行」に加え、新サービスの提供を通じて顧客基盤をさらに拡大
- AIの活用
- 楽天GORAや広告部門でのAI技術の導入により、サービス品質と効率の向上を図る
- グローバル展開
特にアジア市場でのECおよびフィンテック事業の拡大を目指しています。
楽天グループは、インターネットサービスやFinTech部門で引き続き強い成績を上げながらも、モバイル部門の黒字化が課題です。全体の成長基調を維持しつつ、効率化と収益性向上に向けた取り組みが進められています。
コメント